日々の呟きから子育てコラムまで。イラストレーターとファミリ―ライフエデュケータ-のコンビ「さえる」のブログです。家族支援学についても書いてます。
モンスターペアレント
2015年02月11日 (水) | 編集 |
 私が先生になった、と聞きつけた新旧の友人たちは、会うと決まって、少し声をひそめてこう訊ねてくる
「ねえ、モンスターペアレントってホントにいるの?」

 あんまり何度も聞かれるので、最近では、私は、いくつかの答えを用意している。

「いないよ。いい人ばっかりだよ」
「いるかもしれないけれど、イメージするほど多くはないと思うよ。少なくとも私は会ったことはない」
「一昔前は学校批判を奨励していたメディアの影響で、張りきって学校に文句言っていたら、逆に手のひらを返したメディアにモンスターペアレントって名づけられてしまっただけじゃない?」

 だけどこれは私個人の意見で、同じ先生でも「モンスターペアレントはいる」と答える人もいる。

 それはなぜか。

 …私がモンスターペアレントはいないと考えるのは、たぶん、いや間違いなく、私が先生であると同時にファミリーライフエデュケーターでもあるからだ。

 ファミリーライフエデュケーションは家族支援の一分野。だから家族支援理論イコールファミリーライフエデュケーションの考え方。

 そして、家族支援は人にレッテルを張ることをしない。
 すべての親には子どもを育てる力があるという信頼から始まり、その信頼に基づいて、あらゆる角度からその力を阻んでいるものを取り除く作業をするのが、家族支援。
 そしてその支援はオーダーメードで一人ひとりちがう。

 だから当然、モンスターペアレントとレッテルを張って嘆くという展開は、家族支援にはあり得ない。
 家族支援的には、モンスターペアレント的行動をする人がいたら、その言わんとするところをまず理解し、その人の背後の事情を把握する。
 そして一緒に考えるだろう。
 
 学校は少し違う。

 学校は、先生は、すでに「親はこうあるべき」という鋳型を持っている。
 そして、その型にはまらない親子がいたら、それは、一方的に親側の落ち度になる。
 仕方がない。
 学校は親支援の場所ではない。
 教え導く場所だ。
 しかも、学校は集団で行動する場所だから、足並みをそろえないものがあれば、足並みをそろえている多数に迷惑がかかる。
 また、先生達は、「教え導く」ことを生業にしているうちに、批判にすこぶる弱いという体質も身につけてしまったのではないか。
 だから、批判をする=モンスターと直結してしまうことも、ないわけではないような気がする。

 つまり家族支援的な視点を持たず、しかも批判に敏感な先生が、「モンスターペアレントはいる」と考えることは十分あり得ることなのだ。

 こう考えていくと、モンスターペアレントが絶対的に存在するという考えはナンセンスに思えてくる。

 それは関係性による幻想なのではないだろうか。
 
 家族支援と学校という、違うとらえ方を挙げるまでもなく、もしかしたら相性というレベルで考えたとしても、同じ親がモンスターペアレントと認識されるかどうかは、その親と先生との関係性で決まる。

 つまりモンスターペアレントは、考え方や関係性によって簡単に左右される、極めて定義性の薄い不安定な概念というわけ。

 そもそも、学校批判ムーブメントもモンスターペアレントも、メディアの煽りの影響で踊ってしまった結果ではないのかしら。
 落ち着いて考えたら、学校と親が敵対化すること自体、どちらの得にもならないし、ましてや、その双方が大事にしている子ども達にいい影響があるわけがないのに。

 学校と親がそのことを強く意識していれば、くだらない争いに身をやつす必要もない。メディアに踊らされることもない。

 学校は、地域のほぼすべての子育て家族がかかわる場所だから、本当は、学校が、家族と家族支援の繋ぎ手になれば一番いい。“モンスターペアレント”化した親がいたとすれば、それは支援が必要という目印かもしれないのだ(その可能性は非常に高い)。今の日本のシステムの中では、学校は、支援が必要な家族を見いだすのに素晴らしく有効なリソースである。だから学校に家族支援の視点を…! そう思って学校に潜り込んだ、という面も私にはある。

 …なーんて長い解説は、気軽に聞いた友人たちは決して欲していないだろうから、私は言わない。いつも冒頭のようないくつかの答えですましている。せめて本当の想いをここに記しておこう。



 だけどなー、もしかしたらどっちにしろ私の答えは、相手の望むものではなかったかもしれない。

「モンスターペアレント、大変だよ! 例えばこんな親がいてさ、ヒソヒソヒソ…」
 っていうのが、期待されていた答えなのかもしれないね。

 今 気がついた。ごめんよ~みんな、つまらない答えで…。


 

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