日々の呟きから子育てコラムまで。イラストレーターとファミリ―ライフエデュケータ-のコンビ「さえる」のブログです。家族支援学についても書いてます。
⑪「保育」と「子育て」と「子育て支援」そして「家族支援」の違いについて
2014年08月30日 (土) | 編集 |
(ここは、ファミリーライフエデュケーターのマミが、今から親支援・子育て支援・家族支援を始めたいなあっていう人にお贈りするHOW TOでーす)

 先日のコラム(子育て支援員)について、「保育」と「子育て」ってちがうの?というご質問をいただいたので、それについて書きます。

まずは、「保育」と「子育て」の違いを、項目別に見ていきましょう。

「保育」
                                   
集団/グループで行う                          
分業制(掃除、洗濯、食事作り、施設管理、対外交渉、財政など)
原則として病児保育、重度障害児保育は行わない       
就業時間内労働                            
子どもに対する最終責任を持たない
               
「子育て」

個人で行う
全てを母親(またはそれに代わる人)がマネジメントする
病気、障害もケアする
在宅児の場合24時間
子どもに対する最終責任を持つ
              
          
 というように、乳幼児の面倒を見る、躾をするという面では、同じように見えるこの二つですが、
実は決定的に違うんですよね。
 けれども、「保育」と「子育て」は、しばしば混同あるいは同一視されており、その結果、日本の「子育て支援」は主に保育士が担う傾向にあります。
  しかし保育士の主たる専門性は「保育」にあり、「子育て」あるいは「子育て支援」にあるわけではありません。
 
 ここを明確に押さえておかないと、いろいろと不都合が生じます。

 「保育」と「子育て」は、別のもの。

 「子育て支援」は、「子育て」の「支援」。

 ですから「子育て支援」は、「保育」ではなくて「子育て」にについて知識経験のある人が、なおかつ「支援」とはなにかについても了解・習得して初めて可能になるのです。
(ただし、レスパイト提供を含む一時預かりは、保育士が保育の専門性をもって努めることができる子育て支援です)。  
幼稚園教諭においても、同様のことが言えます。

 けれども、「保育」と「子育て」の混同ゆえ、今まで、多くの保育士さんは、保育士であるというだけで「子育て支援」を任され、あるいは託され、取り組む必要に迫られてきました。
 そしてカンのよい人ならすぐに「なにかちがう」と気づき、そしてその結果、自助努力によって「子育て」や「子育て支援」を少しずつ掴みながら、支援的活動をしてきたことと思います(少なくとも私の知っている保育士さん達はそんな感じです)。

 でも、

 「保育」と「子育て」は、別のもの。

 「子育て支援」は、「子育て」の「支援」。

 ということを抑えて眺めなおすと、保育士に「子育て支援」を任せる、というのは実は素人さんにいきなりプロの仕事をしろと言っているようなものだということがわかりますね。
 
 私に言わせれば、本来、「子育て支援」というのは、ほぼほぼ「おやしえん」なんですよね。

 だから子どものプロフェッショナルであるよりまず、親の現状、心理、夫婦関係や現代社会が親に与える影響についての認識、成人とのコミュニケーション力や成人教育学の知識等のほうが大切。

 でも、「保育」は「子どもの善い育ちへの直接的働きかけ」がメインだから、まず最初に求められるのは、子どもの発達についての基礎知識や子どもへの有効な働きかけのスキル。

 ね、ぜんぜんちがうでしょう?
 きっと、保育士の皆さんご苦労されたのではないかなあ。

 それからついでに言わせてもらうと。

 「子育て支援」と「家族支援」も、実はぜんぜんちがうんですよ。

 「子育て支援」という用語は日本のもので、英語では「家族支援=Family Supports」と総称します。

 そして 「家族支援」は、親への支援を、子育ての手助けやアドバイス、保育の提供というせまい範囲に限定しません。

 そもそも、家族支援の”家族”とは、子どものいる家族限定ではありませんし、子どものいる家族の支援に限ったとしても日本より遥かに多岐にわたります。

  だから、子育てのアドバイスどころか、就労支援や家さがしから、洋服リサイクル、食事支援、子どもや親の学習支援、心理的危機の予防、婚前教育、性教育に至るまで、とにかく家族のウエルビーイングの実現のための包括的サービスが「家族支援」。
 地域の情報提供、ファミリーセラピー、カウンセリング、福祉などの必要な支援に繋ぐ作業も支援の範疇です。

 そして、「家族支援」は、子ども支援=家族支援=地域づくりという発想、つまり、子ども-家族-地域は、切っても切れない関係にあり子どもの幸福を目指すなら、結局は家族(またはそれに代わるシステム)が、ひいては地域全体が幸福なコミュニティとなる必要がある、という考え方をベースに持ちます。

 多様な支援の提供と地域づくり、この双方の理由から、「家族支援」の実践には、子育てにかかわる人だけでない、広範囲なネットワークが不可欠です。

 というわけで、有効な家族支援者とは、広範囲なネットワークを持ち、多様な支援者とコラボして様々なサービスを家族に提供しつつ、ベースの考え方に従って、彼らとともに、恒常的な地域づくり・まちづくりの試みをささやかに続けている人のことです。

 そして日本にも、家族支援者的動きの人って、もうすでにちらほらいる気がします。
 本人は、「自分は家族支援者」と気づいていないかもしれないけれど…。




  







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